日本には、現在数多くの不登校児童がおり、その割合は全体の3%近くに及び、その人数はなんと約30万人にもおよびます。この不登校となった児童にもどうにか勉強を続けてほしい、と願う親御さんもきっと多いことでしょう。またそれ以外にも、学校ではなく家で学びたい、学校に行きたくない、という子どもたちも大勢いるかもしれません。今回は、アメリカのホームスクールという考え方をご紹介します。
ホームスクーリングとは何ですか?
ホームスクーリングとは、アメリカで始まった親主導の教育のことです。州によって定義は異なりますが、基本的に親が教育の中心となることが特徴です。アメリカにおける現代のホームスクーリング運動は、公立学校が規則遵守と暗記学習に重きを置きすぎていると感じた親たちが「アンスクーリング」を提唱した1970年代に始まりました。1980年代には、公立学校が悪影響を及ぼすと感じていた保守的なキリスト教徒の間でも広まりました。法廷闘争を経て、現在では全米50州でホームスクーリングが合法化されていますが、規則や規制には大きなばらつきがあります。
ホームスクーリングが選ばれている理由
ホームスクーリング団体と密接に協力してきた会計士のキャロル・トップ氏によると、親がホームスクーリングを選択する理由は過去数十年で変化しているとのことです。かつては「信仰に基づく宗教的な理由や、反文化的な非学校教育」という理由で支持されてきた考えでしたが、今では学校環境やいじめ、仲間からの圧力を心配して、ホームスクーリングを選択する方が増えているようです。パンデミックの間には、親が教師の言動を垣間見る機会があり、その結果、一部の親はそこでの対応などが気に入らなかったことも、ホームスクーリングが増える大きな理由となった述べています。
ホームスクーリングの利点
ホームスクーリングはスケジュールの柔軟性があり、学生と家族の両方のストレスを軽減する魅力的な選択肢となっています。学習や健康上の問題を抱えている生徒にとっても有益で、定期的な休憩や医師への受診を日常の一部として取り入れることができます。また、ビーベットが家でも楽しめるように、ホームスクーリングは家にいながら十分な勉強を可能とします。
ホームスクーリングの潜在的な課題
ホームスクーリングには、子育てと教育の両立を試みる親の燃え尽き症候群や、リソースやサポートサービスへのアクセスの低下といった課題も存在します。また、教育の質の低下や子どもたちの孤立、虐待のリスクを懸念する声もあります。さらに、ホームスクールは従来の学校と同様に、質と利益の面で家庭によってばらつきがあると言います。
アメリカでのホームスクーリングの始め方
アメリカでは親が子どもをホームスクールに通わせると決めたら、最初のステップのひとつは州教育局か地元の学区に通知を提出します。また、親は州独自のホームスクーリングの規則や規制についても知っておく必要があります。例えば、義務的出席義務や親の資格要件(一般的には高校の学位以上)が求められる場合があります。多くの州では、生徒が学習のペースを維持していることを確認するために、学年末の標準テストを義務付けています。次のステップとして、親は子供に教えるためのカリキュラムを選びます。
ホームスクーリング後の変化や選択
生徒が成長し、親が自分で教えることに抵抗がなくなると、ホームスクーラーの中には従来の学校に戻る人もいます。また、ホームスクーリングを続けたい場合、高校生が高校と大学の単位を同時に取得するために大学の授業を受ける二重入学を選択するということもできます。大学は長年にわたってホームスクーリングを受け入れるようになってきており、親と学生は心配する必要はないとのことです。
ホームスクーリングのリソース
アメリカのホームスクーリングは一人で行う必要はありません。家庭教師の利用や、複数の家庭が集まり教科を交互に教える家庭学習協同組合など、ホームスクールをしている家庭が利用できる地域支援は多くあります。
最後に
いかがでしたか?アメリカのホームスクーリングは、利点だけでなく大変な面もたくさんあるようですが、上手く活用できれば日本の教育の場面にも良い影響があるかもしれません。まだまだこの考えが定着し実現するには、地域の協力の場が増えたり学校の理解も必要となります。ですが、学校に行けない子どもや行きたくない子どもにとっては、良い救いとなる可能性があります。今後日本の教育がどのように変化するのか、またホームスクーリングなどの考え方が取り入れられていくのかに注目していきましょう。